でに当たっていた蘭丸が駆けて来て

 

でに当たっていた蘭丸が駆けて来て、濃姫の前に控えた。

 

「御台様、如何なされましたか?」

 

「何やら表から声が聞こえませぬか?」

 

「声に、ございますか」

 

蘭丸は眉を寄せて、そっと耳を澄ましてみた。

 

確かに、表の方から男たちの声がするような気がする。

 

「少し見て参りまする」

 

蘭丸は低頭すると、足早に本堂の方へ駆けて行った。【生髮藥】胡亂服用保康絲副廠,可致嚴重副作用! -

 

濃姫はそのまま自分のに戻ると、その上に端座して、蘭丸が戻って来るのを待った。

 

 

すると程なくして

 

「お逃げ下さいませーッ!お逃げ下さいませーッ!」

 

けたたましい叫声を上げながら、蘭丸が荒々しく駆け戻って来た。

 

その慌ただしさに、信長も何かを察したように、サッと褥から起き上がった。

 

「上様、御台様、お逃げ下さいませ! 一大事にございます!」

 

「如何した蘭丸!?」

 

「そ、それが

 

蘭丸が答えようとした時

 

「「おおおぉぉー!!」」

 

というの声と共に、ドン!ドン!と、銃弾を撃ち込む音が響いて来た。

 

濃姫は思わず信長のにしがみ付く。

──蘭丸、誰やつの仕業じゃ!?」

 

「敵はに桔梗の旗印! あれは明智様の軍勢とお見受け致します!」

 

「な、明智じゃと

 

攻めて来たのが光秀と知り、信長も濃姫も驚愕する。

 

特に濃姫の驚きは凄まじく、思わず体中が震え出す程だった。

 

 

……光秀様、どうして。上様にの意思はないと、あれほど申しておられたのに。に

 

 

あまりの衝撃に力が抜け、濃姫はズズッと夫の身体に寄りかかった。

 

「お濃!しっかり致せ!」

 

上様。み、光秀様が

 

「分かっておる。えるでない」

 

信長は冷静に告げると

 

「蘭丸、表の状況は?」

 

「既に、寺の周りは軍勢によって取り囲まれている様子! ……上様、致しましょう!?」

 

蘭丸が指示を求めると、信長は濃姫を落ち着かせるように、彼女の華奢な肩をってやったにおよばず」

 

と、ひと言述べて立ち上がり、蘭丸を連れて部屋の外へと出て行った。

 

濃姫もらなくなって立ち上がり

 

上様!お待ち下さいませ!」

 

廊下へ出て、進み行く夫の背中に呼びかけた。

 

信長は立ち止まって、半身を振り向けると

 

「表を見て参る。もしも危険と判断したら、そなたはたちを連れて逃げよ。よいな?」

 

それだけ告げて、暗い廊下の奥へと去って行った。

 

上様、上様

 

濃姫はのように呟きながら、寝室のに手をかけたまま、ずるずると床板の上にれた。

 

まるで体に力が入らなかった。

まさか、光秀が

 

あの心優しかった従兄が、自身の夫に、刃を向けようとは

 

否定していたが、やはり信長に怨みの念を抱いていたのか、内心は憎んでいたのか

 

信じていたのに、どうして

 

 

濃姫が絶望感に打ちひしがれていると

 

「御台様ー!」

 

「お濃様ー!」

 

と、廊下の奥からの局とが駆けて来た。

 

「御台様、大丈夫でございますか!?」

 

「しっかりあそばされませ!」

 

二人はれている濃姫を抱き起こし、茫然としている主人に呼びかけた。

 

 濃姫は、蒼白となった顔を静かに持ち上げると

 

、古沍

 

目前の二人の顔を、ろな瞳で眺めた。

 

如何したら良いのであろう。光秀様が、明智殿が、上様に逆心を

 

        何と、ではこの騒ぎは、明智様のご謀反なのでございますか!?」

 

信じられないという表情で齋がくと、濃姫は重々しく頷いた。

 

「では、まさか、御台様がご覧になられたという夢の御告げは、この事態を予期して!?」

 

驚いたように古沍が言うと、濃姫も思わずハッとなり

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