沖田が向かったのは道場だった。
ガラッ
沖田が向かったのは道場だった。
「遅かったな始めんぞ」
中には竹刀を持った土方がいた。
土方さんは誰にも稽古しているところを見られたくないから早朝なら私の稽古に付き合ってくれます。
今日もそれを頼んでたんです。
「驚いたな。もう来てるとは」
あんまり驚いてなさそうな顔で沖田が言う。
沖田も竹刀を持った。
「土方さん防具は?」
「いらん。総司こそ」
「私は全くいりませんよ。土方さん骨折れてもしりませんよ?」
「んなもん折れるか。『バラガキ』なめんなよ」
ニヤリと笑うと二人同時に踏み込んだ。
パシン!會計審計服務
パンパンパンパン!
沖田が連続で打つが全て土方が止める。
「やられっぱなしじゃないですか?」
「るせぇ!野外なら勝ってるわ!」
確かに土方は野外になると滅法強くなる。それは地面の砂を使ったり、足払いをしたり、いろんな戦法を使うからだろう。
パンパン!
パシ----ン!
「く…」
パシン!
パン!
土方も打つが、容易に沖田が止めてまた同じことを繰り返す。中々終わらない。
「土方さんはすぐに倒れないから良い稽古になります」
「てめっ!」
お互い打ち込みまくる。
先がみえない。
バシンッ
「ってぇ!」
「ありがとうございました!」
沖田はにっこりと笑っている。
しばらく打ち合いは続いたのだが、頃合いを見て沖田が背後に回り、土方の面を思いっきり打った。
「総司は手加減ってもんがねぇのか!」
「手加減ならしてたじゃないですか」
「こいつ…」
土方は眉間に皺を寄せた。
ピー!ピピピッ
チュンチュン!
鳥のさえずりが聞こえる。
「さて。時間も良い具合なので美海さんを起こしてきます。土方さんはまだいるんでしょ?」
「あぁ」
「では!」
シュタッと沖田は道場を出た。
土方は倉庫の奥から丸太を出してきて振る。
ブンッ
ブンッブンッ
未だにこれやってる俺って…
ブンッ
昔から総司には勝てねぇ…。昔っから勝てねぇ。あいつは天才なのか?
ブンッブンッ
どうこう考えたって仕方ないな。俺は努力するしかねぇ。
なんとなく塩のいいにおいがする。朝食は塩焼きだろうか。
スパーン!
「みっなみさー――ん!朝ですよー―!」
「んぅ~…まだ眠い」
美海は起きるどころか、深く潜る。
いつものことだ。沖田ももう慣れている。
「起きてくださ~い!今日は良い天気ですよ~」
沖田は美海の布団の近くに行ってしゃがむ。
「てゆーか沖田さんに髪撫でてもらうのなんか気持ち良いです!」
美海がにっこりと笑い、沖田を見上げている。
くっ!かわいい!なんか今なら死ねそうです!
沖田は一瞬赤くなった顔を反らす。
「じゃあ毎日撫でてあげますよ」
他愛もない話をして食堂に向かう。いつもの朝食の席に着くと幹部はほとんど揃っていた。
「おう!総司!美海!おはよう!」
原田が朝から大声を出す。
「おはようございます!」
「おはよ~ございます~」
「美海は相変わらず眠そうだな…」
永倉が苦笑する。
「まぁ美海だしね!」
「なんですか藤堂さん!聞き捨てなりませんねぇ!」
美海と藤堂が軽く言い合いをするが、顔は笑っているため問題はない。
遅れて、土方、山南と着席する。斉藤は座りながら寝てるようだ。
伊東は自室で取るようでいない。
「いただきます!」
「「「いただきます!!」」」
近藤の音頭により皆食事をスタートする。食欲旺盛な隊士達なため、がっついて食べる。無論、美海もそうだ。
あ。今日は刺身がある。やだなぁ。
沖田は生物が嫌いだ。
ポトッ
ポトッ
周りの目を盗んでこっそりと美海の皿の中に落とす。
「あの…沖田さん」
「なんですか?」
沖田は何事もなかったかのように笑顔で白米をつついている。
「なんだか私の刺身が増えてませんか?」
「気のせいですよ」
「いや…まぁ私刺身好きだからいいんですけどね!」
こいつ絶対入れてるな。
美海は横目で沖田を見る。
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